2017.08.07おかあさんのこと
更年期や閉経がある理由~その1~
面白い文献を読みましたので、ご紹介します。
生物にとっての生きる目的は
「遺伝子の伝達と、より多くの子孫を残すこと」
実は、閉経のある生物種は極めて少なく
非常に珍しい現象なのだそうです。
閉経を迎える=繁殖が出来なくなる
「より多くの子孫を残す」という目的からは遠ざかります。
では、なぜ、ヒトには更年期や閉経が存在するのでしょうか。
その疑問を解くカギのひとつが
ヒトの生存戦略としての「共同繁殖」なのだそうです。
多くの生物種では、たくさんの子供を産むために
出来るだけ早く成長し、繁殖可能な期間を長く取ります。
けれど、ヒトを含めた霊長類は、比較的成長が遅くて
たとえば、チンパンジーが初潮を迎えるのは10歳頃。
ヒトでは、子供を産めるようになるまでに
さらに、長い時間がかかります。
ヒトの赤ちゃんは非常に未熟な状態で生まれてきます。
脳は、出生後も、胎児期と同じようなスピードで成長を続け
3歳ぐらいまでに成人と同じ大きさになります。
幼児期や児童期のあいだは
認知や学習能力を高めることに長い時間を費やすので
性の発達は思春期になってようやく始まります。
つまり、ヒトは繁殖時期を遅らせてまで
脳を高度に発達させることに力を注ぎます。
このように、ヒトの成長はゆっくりですから、
長期間にわたる親の保護が不可欠となります。
そこで、母親だけでなく
父親を含め、ほかの大人にも子育てを援助してもらう
「共同繁殖」を行うのがヒトの生存戦略です。
「閉経」があることによって
ますます「子供を産める期間」は短くなるのに
わざわざ「閉経」という手段を用いるのは
その「共同繁殖を行うため」だというのです。
でも、ここで
「寿命が現代より短かった時代には
ほぼ、閉経とともに命を終えていたはずで
単に長生きするようになったから
閉経が早く訪れる気がするだけなのでは?」
という疑問がわいてきます。
ところがどっこい
「ヒトの閉経は長寿の副産物」
という理由だけでは説明できない
現象があるのだそうです。