2017.08.07おかあさんのこと
更年期や閉経がある理由~その1~
面白い文献を読みましたので、ご紹介します。
生物にとっての生きる目的は
「遺伝子の伝達と、より多くの子孫を残すこと」
![](https://arashi-josanin.com/wp-content/uploads/2017/08/dna.png)
実は、閉経のある生物種は極めて少なく
非常に珍しい現象なのだそうです。
閉経を迎える=繁殖が出来なくなる
「より多くの子孫を残す」という目的からは遠ざかります。
では、なぜ、ヒトには更年期や閉経が存在するのでしょうか。
その疑問を解くカギのひとつが
ヒトの生存戦略としての「共同繁殖」なのだそうです。
多くの生物種では、たくさんの子供を産むために
出来るだけ早く成長し、繁殖可能な期間を長く取ります。
けれど、ヒトを含めた霊長類は、比較的成長が遅くて
たとえば、チンパンジーが初潮を迎えるのは10歳頃。
![](https://arashi-josanin.com/wp-content/uploads/2017/04/animal_bonobo-1.png)
ヒトでは、子供を産めるようになるまでに
さらに、長い時間がかかります。
ヒトの赤ちゃんは非常に未熟な状態で生まれてきます。
脳は、出生後も、胎児期と同じようなスピードで成長を続け
3歳ぐらいまでに成人と同じ大きさになります。
![](https://arashi-josanin.com/wp-content/uploads/2017/08/body_nou.png)
幼児期や児童期のあいだは
認知や学習能力を高めることに長い時間を費やすので
性の発達は思春期になってようやく始まります。
つまり、ヒトは繁殖時期を遅らせてまで
脳を高度に発達させることに力を注ぎます。
このように、ヒトの成長はゆっくりですから、
長期間にわたる親の保護が不可欠となります。
![](https://arashi-josanin.com/wp-content/uploads/2017/07/akachan_mother.png)
そこで、母親だけでなく
父親を含め、ほかの大人にも子育てを援助してもらう
「共同繁殖」を行うのがヒトの生存戦略です。
![](https://arashi-josanin.com/wp-content/uploads/2017/08/family_big.png)
「閉経」があることによって
ますます「子供を産める期間」は短くなるのに
わざわざ「閉経」という手段を用いるのは
その「共同繁殖を行うため」だというのです。
でも、ここで
「寿命が現代より短かった時代には
ほぼ、閉経とともに命を終えていたはずで
単に長生きするようになったから
閉経が早く訪れる気がするだけなのでは?」
という疑問がわいてきます。
ところがどっこい
「ヒトの閉経は長寿の副産物」
という理由だけでは説明できない
現象があるのだそうです。