2019.03.06ゆる日記
仁義なき女の闘い~その2~
さて、場所はアフリカ東部の島マダガスカル。
ベレンティ保護区と呼ばれる森で暮らしているワオキツネザル。
縄張りを守るのはメスの仕事。
そして、赤ちゃんは群れの宝。メス達みんなで大切に育てます。
小さい赤ちゃんをお腹に抱き、背中に背負いながら
お互い、物凄い形相で飛びかかり、噛みつき、闘っている映像は
激しくて、ちょっとびっくりするほどです。
ちなみにオスはというと、縄張りを出たり入ったり
群れに縛られずに生活しているそうな。
(ずいぶん、楽そうな暮らしぶりだなあ・・・)
一方、子育てに、縄張り争いに、大忙しのメスたちにとって
群れの存在と、メンバー同士の結束は不可欠です。
長年この森では、8つの群れのメスたちが覇権を争ってきました。
そこに、最近、新しい群れが割って入ってきたのです。
その中心メンバーが~その1~で紹介した
アリコ 12歳 辛抱強いしっかりもの
ローラ 8歳 のんびり屋で憎めない天然キャラ
ラシュア 13歳 リーダー格 気の荒い乱暴者
実は、この3匹、もともとは同じ大きな群れのメンバーでした。
食べ物をめぐる争いを防ぎ、赤ちゃんを確実に育てるために
ワオキツネザルの群れでは、大人のメスが7~8匹以上になると
「血縁関係の遠いものから追い出される」というルールがあります。
(今まで、共に協力し、闘ってきた仲間なのにね・・・)
そのため、血縁関係がなかったアリコが追い出されました。
すると、ローラがアリコの後を追って、自分から群れを飛び出したのです。
血縁関係がないのに助け合うのは、非常に珍しいケース。
一緒に暮らしていた時、他の群れに襲われたアリコと赤ちゃんを
ローラが危険を顧みず敵に突進し、無事助け出したり
ローラが初めての出産で母乳が出なかった時には
アリコが乳母になって子育てをサポートしたり・・・と
2匹は互いに助け合って成長してきました。
人間でいえば「友情」のようなものが芽生えていたと考えられるそう。
大きな群れを出たアリコとローラは、縄張りを持たない放浪生活に入りました。
よその縄張りに侵入し、食べ物を漁っては追い出される生活。
それでも、2匹は大勢を相手に立ち向かい、たった2匹で生き延びてきました。
ところが、かつてアリコを追い出したラシュアと娘たちが
次のターゲットとなり、群れから追放されてしまいます。
ある日、アリコとローラは、ラシュア達と再会。
勢力の弱いアリコは、ラシュアと同盟を結び
新しい群れを立ち上げ、縄張りを手に入れることが出来ました。
ラシュアとローラに新しい赤ちゃんも生まれ、一見、群れは順調のようでした。
ところが、もともとローラとラシュアは親戚同士。
群れには厳格な序列があって、
トップは「ラシュアとその娘たち」そして「ローラ」
血縁のないアリコはここでも最下位です。
ある時、自分の赤ちゃんを病気で亡くしたのきっかけに
ラシュアが、ローラとその赤ちゃんを独占するようになります。
そのため、アリコは独りでいることが多くなりました。
そうこうするうちに、ラシュアの娘たちが成長し、大人のメスの数が増え
血縁のないアリコは、ラシュアと娘たちの袋叩きにあい
またしても群れから追放されてしまいます。
命からがら逃げるアリコ。
ローラはなすすべもなく、見送るしかありませんでした。
その後、あちこち彷徨っていたアリコでしたが
やはり行くところもなく、危険を承知で元の群れに戻ってきます。
ローラのもとに向かうアリコ。
いつもと同じようにアリコを迎え、優しく毛づくろいを始めるローラ。
特別な絆を育んできたローラが間に立つことで、
ラシュア達は、とりあえずアリコを容認しているようです。
アリコの居場所はかろうじて確保されました。
しかし、何が起きるかわからないのがワオキツネザルの世界。
アリコとローラに、平和な群れの暮らしは訪れるのでしょうか?
『ダーウインが来た』では、引き続き
アリコとローラ、そしてラシュアを見守っていくようです。
なんだか、そこはかとなく人間社会に似ているようですが
アリコとローラのような信頼関係を築けている人は
果たしてどれくらいいるのでしょうか