2017.08.12おかあさんのこと
更年期や閉経がある理由~その2~
閉経のない、多くの生物は
寿命を迎えるまで繁殖できるそうです。
~その2~でも触れましたが
「閉経」は、ヒト以外ではほとんどみられません。
たまたま寿命が長くなったから
50歳前後に閉経したあとの
「繁殖できない期間」も、ついでに長くなった
・・・のではないのだそうです。
もともと、ちゃんとした
「合理的な目的」=「共同繁殖」
があるからこそ
ヒトは、繁殖できる期間を短くしてまで
わざわざ、早めに閉経させていて
それを裏付ける現象が「卵胞の加速的減少」です。
さて、「卵胞」って、少し聞きなれない言葉ですね。
少し、説明しましょう。
女性には卵子、男性には精子があります。
そして、卵子と精子が受精して妊娠が成立します。
ここまでは、皆さん、よくご存じですね。
「卵胞」は「卵巣」の中にあります
「卵胞」の中に「卵子」が入っています。
ところで、「卵子」って
月経のたびに新しく作られるものと思っていませんか?
卵子の元となる「原始卵胞」は、胎児期に作られはじめます。
そして、赤ちゃんとして生まれたあとは
もう決して、新しく作られることはありません。
女性は、一生分の卵子の元を体の中に持って生まれ
残念ながら、そのあとは減る一方。
在庫を使い切ると、排卵ができなくなって閉経します。
ここが、日々、新しい精子を作り続けられる
男性と大きく違うところです。
さて、お母さんのお腹にいる胎児期には
約700万個もあるとされる原始卵胞ですが
生まれてからは、出生時が一番多くて、約100~200万個。
初潮を迎える思春期には
すでに約20万~30万個まで減っています。
でも、卵子の元になる材料が30万個もあれば
卵子なんて、余裕で作れそうですね。
ところが、卵巣から排卵されるのは
通常、毎月たったの1個だけ。
その、1個の排卵をするために
約300個の原始卵胞が準備されます。
そして、その中から、1個だけが卵子となります。
それが選ばれし、栄えある『成熟卵胞』です。
そして、月経のたびに
約1000個もの原始卵胞が消失するそうです。
1000個の原始卵胞×月経回数とすると
1年間では、約1~1.5万個が減っていく計算になります。
一生で排卵される卵子の数は、約400~500個程度ですが
順番に1個ずつ、ひと月かけて
大事に育てられるのではないのですね。
しかも、排卵に必要な
約300個の卵胞が用意されるのは32歳がピーク。
30代後半で、約100個
40代になると、約50個の卵胞の中から
選ばれて、排卵することになるようです。
女性の加齢とともに、卵子も年をとっていくので
質の良い卵子を作れるのは30代前半まで、と言われています。
さらに、35歳頃からは
卵胞の減り方が、ますますスピードアップしていき
50歳前後で、いよいよ「閉経」を迎えます。
もし、この「卵胞の加速的減少」がなかったとしたら
ヒトは70歳頃でも
約1,000個の卵胞を持っていると考えられるそうですよ。
さて、ようやくここから
進化生物学的には、繁殖に不利なはずの
「卵胞の加速的減少」&「閉経」
が、ヒトに存在する理由=「おばあちゃん仮説」
の登場です。