2017.06.26ゆる日記

砂漠のライオン

毎週、NHK『ダーウィンが来た!』を観ています。

6月11日の放送は「キリンと対決!砂漠ライオン5兄弟」

アフリカ ナミブ砂漠は、厳しい暑さと乾燥で知られます。

年間の総雨量は20mm。

日本の年降水量は約1700mmくらいですので

85分の1しか雨が降らない、過酷な環境です。

そこに、わずか120頭しか生息していない砂漠ライオンの

ある家族が主人公でした。

 

ライオン一家のメンバーは

人間でいうと80歳近いおばあちゃん

17歳のメスライオンがリーダー。

リーダーの娘である、おとなのメスライオンが2頭。

その子供であるオスライオン5兄弟の、計8頭。

父親は兄弟が生まれてすぐに命を落としたので

おとなのオスライオンはいません。

そのため、おばあちゃんライオンは体を張って

一家を率いていました。

 

ライオンの狩りの成功率は20~30%。

メスライオンは体重150kgくらいなのですが

獲物の少ない砂漠という環境で

大人並みに食欲旺盛な子どもたちを養うためには

たとえケガをするリスクを負ってでも

体高6m体重1トンにもなり

ライオンが蹴り殺されるほどの強力なキックを持つ

キリンをも狙わなくてはならないようです。

 

ある日の狩りで

いつも率先して獲物を追うおばあちゃんライオンが、

前足にけがを負ってしまいます。

足が痛むのか、ゆっくりと歩くことしか出来ません。

砂漠ライオンの移動距離は一日最大200km。

草原ライオンの50倍以上です。

彼らが生きるためには、広大な砂漠を

新たな獲物を追って移動するしかありません。

食事を終えた群れは、獲物を追うため移動を始めました。

 

しばらくは、娘が寄り添っていましたが

次第に群れとの距離が開くため

ついには、娘も母親を置いて、群れの後を追いました。

群れはそうやって、命をつないでいくのです。

 

過酷な砂漠で、17年を生き抜いてきたおばあちゃんライオンは

骨と皮だけになり、すっかり変わり果てた姿で

最期の時を迎えました。

 

リーダーとして群れを率いる力を失った個体、

病気やケガで弱った個体は

群れを追放されるか、置き去りにされます。

野生動物の厳しい掟です。

 

それまでの群れへの貢献が報われることもなく

じっと痛みをこらえ

それでも、ただ淡々と生きようとし

やがて時がきて、静かに死んでいく。

 

言葉を持たず、本能に従って生き、死を迎える野生動物を

擬人化して考えることは意味のないことです。

ただ、以前、ニホンザルのリーダーを追った

ドキュメンタリー番組を観たときにも感じたことですが

まさに、「今ここを生きる」潔い姿に

畏敬の念と、やや憧れに似た感情を抱きました。

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