2018.10.11昔ばなし

若者よ、からだを鍛えよう

和歌山県の基幹産業は農業です。

少子高齢化が進み、農業従事者数も減少する中、いろいろな対策が必要です。

そこで、和歌山県では、平成17年からロボット研究が始まりました。

平成23年からは、農林水産省の5年間の委託プロジェクト研究に指定。

そして、平成27年に和歌山大学が設立したベンチャー企業が

「体に装着することで重いものを楽に持ち上げることができる」

『パワーアシストスーツ』を完成させ、最近、お披露目されたそうです。

コンセプトは

「筋力が弱った高齢者」「筋力が弱い若者」

元気に農業を続けられる夢のようなロボット。

農作業をはじめ、介護や建設の現場での活用にも期待されているそうです。

開発を進めてきた八木名誉教授は

「高齢者や女性でも働きやすくなるロボットを作ろうと取り組んできた。

 高齢化が進む中、和歌山の農家はもちろん

 全世界の人が腰痛にならず元気に働く助けになってほしい」

と話されているそうです。

「パワーアシストスーツ」は、60万円~100万円と高価ですが

普及していけば、価格もお手頃になるかもしれません。

 

農業は重労働です。

楽に仕事が出来るスーツは、高齢者自身の仕事の軽減になるだけでなく

後継者不足対策としても大きなメリットがあるのかな、と思います。

 

ただ、私にとっては、これからの若者の暮らしぶりについて

危機感を覚えるニュースでもありました。

*******************************

 

私の実家のトイレは家の外にありました。

(18歳で家を出るまで住んでいました)

井戸と納屋の間を通り抜けた先にある

うす暗い裸電球に浮かぶ、ぼっとん(汲み取り)便所。

闇が広がる夜は、全てが不気味で怖くて

そこそこ大きくなるまで、母を起こして付き添ってもらいました。

冬は寒いし、夏は蜘蛛や蛾が出るし、ほんとにもう・・・

 

その便槽に溜まった○○○はというと

祖母が、柄杓(ひしゃく)で肥担桶(こえたご)に汲み取って

えっちらおっちら運んで、畑に撒いていましたよ。

江戸東京博物館より引用

 

これ、中身が入ると、前後で10kgくらいになるそうです。

こぼさずに歩くには(こぼしてかかったら悲惨なことになる)

大変な体幹力とバランス力を必要とします。

おばあちゃんは、えらかった。

 

大正末期~昭和初期には、こんなことも日常でした。

信じられないほどのパワー。

 

(伊豆大島写真館)より引用

 

「風呂」「トイレ」「洗濯」「掃除」

いろんなことが全自動化されたおかげで、私たちは重労働から解放されました。

ドアも水道も捻じるタイプのものはどんどん消えていき

力の要らないレバー型になりました。

更年期~高年の私は、指や手首の関節が弱ってしまい

捻じる・回すといった動作が苦手になってきています。

いろいろな力が衰えてくる人間にとっては、本当にありがたい世の中です。

 

でも、簡単・便利・楽な生活を享受するのと引き換えに

今の私たちは、わずか40~50年の人々と比べても

体力・筋力(その他五感も)すべて、どんどん弱る一方です。

日常生活や遊びの中で当たり前に身についていた

動物としての「生きる力」を失っていきつつあります。

 

「生きるための最低限の筋肉」しかないような女性が増えています。

体力筋力がないと、妊娠・出産・育児は大変です。

高齢化に対処するための「パワーアシストスーツ」

そのうち、当たり前のように

抱っこ紐にも進出するのではないかと心配になります。

なんたって「筋力が弱った高齢者」だけでなく

「筋力が弱い若者」も対象なんですから。

そのうち、抱っこどころか自分の体も支えられなくなったりして・・・。

 

Page Top 診療予約・お問い合わせ