2022.01.24プロフェッショナル

俳人・夏井いつきさん その1

昨年の話になりますが
NHKの番組「プロフェッショナル」で
「17音、言葉の力を信じて
~俳人・夏井いつき~」
の放送がありましたね。

人気番組「プレバト」に出演されている
夏井いつきさんの名は
皆さんもご存知でしょう。

このHPを始めてすぐの
このブログにも書いています。
本当に鮮やかな添削で、まさしく
「プロフェッショナル」だなと感じます。

さて、華々しい活躍の裏には
人知れず苦しんだ過去があったそうです。
30歳の時、家庭の事情で
中学校教職(国語)を離職。
母親の介護と二人の子育てに追われる
言葉では表せないような
つらい日々が続きました。

「秋の蝶じわじわくるいはじめたる」

そして43歳でシングルマザーになり
いよいよ精神的にも経済的にも
どん底まで追い込まれました。

「淡雪や離婚届のうすみどり」

しかしどこにも苦しみをぶつけられない
その思いは俳句に注ぎ込まれます。

「まぶしさがかたまり裸木となった」

(以下『』は夏井さんの台詞です)

『葉っぱを全部落とした木の事を
裸木というんだけど
まぶしいものをみてるのもしんどいよね。
人生、生きてたらいろんな困難とか
しんどいことは山ほど起こってくるけど
俳句というアイテム、杖を一個持っとくと
自分のしんどいことを
人にぶつける言葉じゃなくて
俳句という書く言葉で昇華できる』

 

『(現代は)SNSとかで
やたらめったら人を誹謗中傷して
そういう風潮でしょ。
そんなマイナスのことで
生きている実感を手にするよりは
(俳句の)たった17音でも
プラスのことで
生きている実感を手にした方が
建設的だし健康的だし』

 

『自分が理解出来ない句を否定しない
あらゆる句を
愛することの出来る身体になりたい。
愛しにくい句が放られてきた時に
ひょっとしたら私は
この俳句の本当の良さを知らないから
今愛しにくいんじゃないかしらと思って
こうやって触ってほおずりして匂って
「わーすごいすてき」とか「大好き」とか
「わー心が今不穏になった」とか、
そうやって愛でる』

ネット上で行っている俳句教室の仕事では
数日かけて7000近い俳句を読みつくし
丁寧に評価をつけていくそうです。
初心者レベルの句には添削例も添えます。

全ての句を大切に扱う姿勢は徹底していて
伝えたいのは
評価されやすい俳句の作り方ではなく
自分の思いを正確に表現する技術。

『すぐみんな言うんだよ。
「感性」とか「感覚」とか「センス」とか
それの部分がないとはいわないけど
でも言葉を組み立てていく作業というのは
もう本当に単なる技術。
技術は身に着けられるんです』

 

『俳句って
「俳句らしくていい」とか
「俳句はこうあるべきだ」とか
そう言いだした瞬間から
本当に俳句は根腐れしていくの。
みんな一人一人が自分のための
俳句を作ればいいわけであって
俳句のために自分を寄せる必要はないと
私は思っているのです』

俳句の魅力を伝えるための活動は
30年以上に渡って続けている
地道なライフワークなのだそうです。

たとえば、お客さんと掛け合いながら
俳句作りの楽しさを伝えていく句会ライブ。
数年前に和歌山市で開催された
句会ライブに2回目の参加したのですが
会場でお題を出されて
参加者全員が出す俳句で
思いがけなく最終10句に選ばれました。
「節くれて止まった指輪クリスマス」
冬の季語を使って
「最近困ったこと」みたいなお題でした。
嬉しかったです(*^-^*)

➡その2へ続きます。

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