2022.11.15あかちゃんのこと

赤ちゃんのスキンケア②~保湿のしかた~

「保湿剤」は2種類に分けられます。
ひとつはエモリエント
肌の表面に油の膜をはることで
水分の蒸発と皮膚の乾燥を防いでくれます。
エモリエント(皮脂膜の役割をもつ)外用剤には、ワセリン、スクワラン、ラノリン、ホホバオイル、流動パラフィン(ベビーオイルなど)などがあります。

もうひとつがモイスチャライザー
保湿成分が角層内で水分と結合し水分を保持することで、直接的に角層水分量を増やします。
主な保湿成分としては、ヘパリン類似物質、尿素、ヒアルロン酸、グリセリンなどがあります。

「エモリエント」「モイスチャーライザー」の選び方
「塗り心地」「使い勝手」「価格」「肌の状態」
などによって使い分けるとよいようです。

エモリエントは皮膚を保護する効果があって、皮膚刺激性が少ないという長所があります。
白色ワセリンは安価で安全性も高く、中でも不純物が少ないプロペトは眼球にも使えるくらいなので、塗る場所を選ばないためよく使われます。
「安価」であるとたっぷり使いやすいですね。

半面、ワセリンはべたつきが強くて、やや使い勝手が悪いという欠点もあります。
使い心地が悪いと、保湿剤の使用量が少なくなりがち。
刺激感が少なくてコストパフォーマンスが良くても、塗り心地が合わずに必要な量を塗ってないと、効果が半減してしまいます。

モイスチャライザー
皮膚の保湿成分が減るアトピー性皮膚炎には、エモリエントよりも有効性が高いようです。
ただ、モイスチャライザーはやや値段が高めで皮膚の保護効果はあまり期待できません。
(外用剤は薬効成分である主剤とそれ以外の基剤から構成されているので、基剤にエモリエントが配合されていて、両方の保湿作用をもつこともあります)

モイスチャライザー
➡肌に水分を与えて肌を柔らかくする
エモリエント
➡水分が逃げないように蓋をする
という効果を考えて、どちらか片方だけではなく、両方の成分を取り入れると、効果的な保湿効果が得られます。

(大人も同じですね~)

乾燥要因がアトピー性皮膚炎や脂漏性湿疹といった疾患のように保湿不足以外のものである場合もあります。
保湿ケアをしても症状に改善が見られない場合は、医師に治療法を相談するようにしましょう。

「剤形の種類」

軟膏
基材に油脂性・水溶性があります。
一般的には保湿剤は油脂性。
皮膚保護作用、皮膚柔軟作用があり、皮膚刺激性が低いので皮膚の状態を問わず使用できます。
ベタつきがあり洗い流しにくいです。


クリーム
基材は油性成分を水性成分で取り囲むO/W型と水性成分を油性成分で取り囲むW/O型があります。
ベタつきが少なく水で洗い流せます。
「水と油」を混ぜるための界面活性剤(乳化剤)や親水性物質は微生物を繁殖させやすいため、防腐剤も配合されていることもあり、バリア機能が低下している肌に塗ると刺激性が強いことも考えられます。


ローション
基材は乳剤性・溶液性・懸濁性。
薬効成分が角質層に移行しやすく即効性があり、使用感がよく肌の上で伸びやすいですが、体温で基剤が蒸発しやすく、薬効の持続時間が短いのがデメリットです。
クリームと同じく、皮膚のバリア機能が低下していると、皮膚刺激が強く出る場合があります。

「保湿剤の使い分け」

保湿剤によるスキンケアは、年間を通じて継続することが大切です。
時間帯
忙しい朝は、伸びが良くさらっと塗れるローションや乳液タイプ。
夜は保湿効果の高いクリームや軟膏。
軟膏やクリームなど油分が多い製剤の場合、入浴直後の体が温まっている状態だと伸びやすく塗りやすい。
塗る場所
頭皮や背中や脚などの広い範囲に塗る場合は、ローションや乳液などの伸びが良い製剤。手や足は汗で落ちにくい軟膏やクリーム。
季節
夏 ➡ 汗をかきやすい時期。ローション
秋・冬 ➡ 乾燥しやすい時期。軟膏や油性クリーム
水性クリームは水分と油分のバランスが良く、1年を通して使いやすい。

「塗る回数」
朝晩の1日2回を目安に。
乾燥が気になる場合は、回数を増やす。
「塗る量」
医療現場では塗り薬の使用量の目安として
フィンガーチップユニット(FTU)が使われます。
1FTU(0.5g)は成人の手のひらの面積約2枚分に塗れます。

チューブ➡ 成人の人差し指の先端から1つ目の関節までの長さを押し出した量が約0.5g
ローション➡ 1円玉大に出した量が約0.5g
瓶➡ 成人の人差し指の先端から1つ目の関節の
1/2までの長さをすくった量が約0.5g。

※FTS以外の目安としては、塗った場所がテカテカティッシュペーパーが付着する程度。

「体の部位別の目安量」

使用量は年齢や体の大きさによって異なります。
1歳以下は、下記の量が目安です。
顔・首 片腕・片手 胸・腹 ➡1FTU
片脚・片足 背中・お尻 ➡1.5FTU

 

正常な皮膚を保つため「清潔」「保湿」を大切に
新生児期からの適切なスキンケアで
皮膚のバリア機能を守ってあげましょう。

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