2017.10.02ゆる日記

臓器は会話しています

今日は、週一回の

白浜はまゆう病院の女性診療科外来勤務の日でした。

分娩は取り扱っていませんが

婦人科診察のほか、妊婦健診も行っています。

 

私は、看護部・外来所属なので

手の空いている時は他科の採血や点滴、

検査の送迎などもしています。

28年、ずっと産婦人科ひとすじでしたので

今日、久しぶりに、リアルタイムで

胃カメラの映像を見ました。

(カメラもずいぶん進歩しています💦)

なにしろ、お酒に弱い私

自分の検査の時は、麻酔で速攻、意識消失していますから・・・。

 

「人間て、ほんといろいろ、すごいものを作り出すな~」

というのが正直な感想でした。

昔の科学者たちは、どれだけ恋焦がれる思いで

「からだの中を覗いてみたい」

と思ったことでしょう。

 

その胃壁の映像を見ていると

9月30日(土)に始まった

NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク

を思い出しました。

~NHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体」は

1989(平成元年)に初めてシリーズで放送されたようです~

 

今、最先端の顕微鏡技術によって

ミクロの細胞をまるごとスキャンして

コンピューター上に立体的に再現出来るのだそうです。

免疫細胞は、ツノが出ていて、ぱっと見、ウミウシみたいでした。

「がん細胞に食らいつき、攻撃物質を発射する免疫細胞」

「血液内を敵を探してパトロールする免疫細胞」

まさに戦う免疫細胞が立体的に映しだされます。

 

今までの医学では、脳など限られた臓器だけが

メッセージ物質=「ホルモン」を出すというのが定説でした。

ところが、顕微鏡技術の進歩によって

腸の絨毛の細胞から、ミクロの物質が噴き出し、

他の臓器とメッセージのやり取りをする様子が確認できます。

 

そして、心臓からも「ANP]という

メッセージ物質が出ていることが、確認されたそうです。

「ちょっとしんどいんやけど」

という心臓のつぶやきが「ANP」です。

腎臓の細胞血管には

「ANP」をキャッチする装置があり

心臓のメッセージを受け取ると

「よっしゃ!任せてな」とばかり、

尿量を増やして、からだの血液量を減らしたり

血管のささくれを修復したりして

心臓の負担を減らすのだそうです。

 

腸や心臓だけでなく

全身の臓器からメッセージ物質が放出され

「臓器同士が会話している」らしい(@_@)

血管という壮大な情報回線の中を

臓器や細胞からのメッセージが飛び交っているのです。

まさに、巨大なネットワーク

やはり、人体は神秘の「小宇宙」なのでした。

 

ちなみに「ANP」は、がん治療にも応用され始めていて

がん手術の際に投与すると

がんの転移や再発を減らす効果があるのだそうです。

 

手術直後、血管内に流れ出した少量の「がん細胞」は

ふつうは数日で死滅するので、問題ありません。

ところが、血管に傷んだ部分があると

そこから「がん細胞」が入り込みやすくなります。

そうして起こるのが「がんの転移」です。

「ANP」を投与することによって

「心臓からメッセージがきた」と認識して

傷んだ血管のささくれを速やかに修復し

結果、がんの転移を抑えるそうですよ。

でも、悪賢い「がん細胞」が出す

エクソソームというカプセルは

悪意に満ちたウイルスメールのような方法で

味方のふりをして、正常細胞を攻撃してくるんですって

全く、けしからん奴だ

 

そのエクソソームを逆に利用して

「血液一滴で、13種類の早期がんの細胞を発見する」という検査も

3年後の実用化に向けて、研究が進められています。

 

国内患者数70万人。免疫の大暴走である、関節リウマチ。

これも、人体ネットワークの解明によって

メッセージ物質の異常が関与していることがわかり

治療への扉が開いたそうです。

 

シリーズは半年続きます。

母体と胎児のやり取りも取り上げられます。

楽しみですね(*^-^*)

 

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