2018.10.07あかちゃんのこと

赤ちゃんの頭のゆがみ~その1~

赤ちゃんの頭の形、気をつけていますか?

「頭蓋変形」とは、頭の形がいびつになる症状。

その原因として

●母親の子宮内での環境や分娩過程における処置

●「水頭症」や「頭蓋骨縫合早期癒合症」などの病気

が挙げられます。

検査を受けずに安易に判断することは危険ですが

いびつな頭の形の原因として、もっとも多いケースが

頭蓋骨がまだ柔らかい時期に、偏った力が一定の場所にかかり

均等な頭蓋骨の形成を妨げることによって

後頭部が扁平になったり非対称な形になる

「位置的頭蓋変形症」です。

 

うつぶせ寝、喫煙、人工栄養率、温めすぎなどが

SIDS(乳幼児突然死症候群)の危険因子であることが判明し

1992年に米国小児科学会(AAP)は

「仰向け寝でSIDSを防ごう」

という“仰向け寝”キャンペーンを導入しました。

もともと乳幼児をうつぶせ寝にすることが多く

絶壁頭になる乳幼児の率はそれほど高くなかった米国において

赤ちゃんが自力で体位変換できるようになるまで

「仰向け寝」で寝かせることが推奨されました。

結果として突然死は減少しましたが、乳幼児の頭蓋変形が増加しました。

米国では、これを重要な問題として位置付け

頭蓋変形に対する医学的な研究が発展するとともに

頭の変形を予防・改善するための手法や、製品の研究開発がとても進んでいます。

 

一方、日本でも、1998年、厚生省(現在の厚生労働省)が

「乳幼児のうつぶせ寝は危険である」と発表しました。

米国でのSIDS(乳幼児突然死症候群)発生率の減少を受けて

日本でも赤ちゃんを仰向けに寝かせよう」という動きが始まったのですが

当然、米国と同じように、頭の変形という問題が出てきました。

 

ところが、頭の形状とその影響に対しての関心が高い米国と比べて

そもそも昔から、乳幼児を仰向けに寝かせることが多かった日本では

「頭の形は遺伝だ」

「頭の歪みはそのうちに治る」

「いびつな形でも問題はない」

といった認識から、頭の形はさほど気にされていなかったのです。

 

そのため、日本においては、位置的頭蓋変形症に対する認識が乏しく

保護者の方が「あれ?ちょっと頭の形が・・・」と気になって

乳児検診の時などに相談しても

「問題ない」「ほうっておいたら治る」などと応じられることもあるようです。

SIDS(乳幼児突然死症候群)は命にかかわるため

大きな問題として取り上げられていますが

頭の変形(斜頭症・絶壁頭)に関しては、それほど問題視されず

実際にお子さんがそのような状況になってから

あわてて対策を考えることになります。

 

 

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